d:matcha Kyoto magazine

和束町にて、お茶農家&カフェを営むd:matcha Kyotoのブログです

【お茶コラム】全部知っていたらすごい!お茶のトリビア・豆知識10選

 こちらの写真を2枚ご覧ください。どちらがより美味しいお茶の淹れ方でしょうか?

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こんにちは!d:matcha Kyoto magazineのTakeshiです。

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(最近「元農学部です」という自己紹介をすることが多く、学生時代の写真を色々と引っ張り出してみている私。)

 

 お茶を淹れるシーンが多いd:matchaスタッフですが、その際にはいろいろ質問を頂くことがあります。淹れ方にはじまり、お茶の育て方や栽培している和束町のことについて、はたまた烏龍茶や紅茶など世界のお茶に至るまで・・・。お茶に関しては様々な引き出しを持っています。そんな我々が知っている「お茶トリビア・豆知識」をご紹介します!

※これを読んだ後に、同じ内容を語っているスタッフを見かけても、はいはいあれね、と思わず温かい目線で見守って頂けると幸いです。

 

①お茶を淹れるときには「急須の蓋の向き」にまでこだわると通

 お茶を淹れる時に気をつけることは、お湯の温度と茶葉の量、それと注ぎ方や注ぐ順番・・。様々あるのですが(煎茶の基本的な淹れ方であれば、以前の記事ですがこちらをご参照ください)、なかなか一般的には話題にならない注意点があるのです。

 

 こちらの写真を2枚ご覧ください。どちらがより美味しいお茶の淹れ方でしょうか?

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右と左で違うのは・・・そう、蓋の穴の位置です。どちらで淹れたほうが、お茶の成分がしっかり出せるのか、わかりますでしょうか・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は、右側。穴の位置は注ぎ口のほうにしたほうがよいのです。理由は、「急須の蓋に穴が空いている部分から空気が入り茶葉が拡散され、抽出する際にお茶の成分がしっかりと出る」からです。

 

ちなみに以前、林先生の初耳学というテレビ番組でも紹介されており、林先生も知らない豆知識でした。

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画質が荒く恐縮ですが、これだけお茶の濃さに差が出る、という紹介をされると右のほうがしっかりと成分が抽出されて美味しそうですね~。

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 ※ご参考までに、茶を淹れる際には、雑味を出さないために茶葉をできるだけゆすらない、という淹れ方(作法)もありますので、絶対ではありません。あくまで茶の成分をしっかり出せる淹れ方とご承知ください。

 

②「番茶」は地域によって「ほうじ茶」だったり「煎茶」だったりする

 番茶ですが、実は以前にこんなコラムを書いたことがあります。

そこでも紹介したのですが、いわゆる「番茶」というのは地域によって定義が違うんですね。

参考;番茶の色、地域でなぜ違う 東京は緑・北海道は茶…|MONO TRENDY|NIKKEI STYLE

 

 私は新潟出身のため、番茶といったら「ほうじ茶」でした。私の妻は実家が東京ですが、番茶といったら「煎茶(深蒸し)」でした。d:matchaがある京都では番茶といったら「京番茶」といって、大きな茶葉をスモーキーな香りがするまで炒ったものだったりします。

 あまりにも「一般的にイメージするお茶」が出身によって異なるので、お客様から「どんなお茶がオススメですか?」と尋ねられた時には、可能であればご出身を伺うことにしています。生まれ育った土地がわかれば、オススメしやすいお茶も考えやすいのです。

 

③日本最北端のお茶処は新潟県

http://ja-niigata.or.jp/wp/wp-content/uploads/2013/01/%E4%BF%A1%E8%B6%8A%E7%89%88%E7%89%88%E3%83%BB%E6%9D%91%E4%B8%8A%E8%8C%B6%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E5%AE%88%E3%82%8C.jpg

http://ja-niigata.or.jp/agrinews/1361より引用 

 お茶の木を「経済的につくることができる」限界の土地として、新潟県の北部にある村上市が有名です。ちなみに私は新潟出身でして、帰省した折にはそのすっきりした味わいを求めて買ったりもします。お茶好きの方は、新潟観光の際には覚えておくとよいでしょう。県内のお土産処で買うことができるところもあります。

※研究者の方のじっくりしたレポートを読みたい方はこちら。

http://www.nagaokauniv.ac.jp/wp2014/wp-content/uploads/2013/12/063_rk_yamakawa.pdf

 

④カフェインは「テイン」と呼ばれるかもしれなかった

 一度、こんなコラムを書きました。

magazine.dmatcha.jp

 お茶から「カフェイン」が発見されるのが早ければ、コーヒー由来の「カフェイン」ではなくティー由来の「テイン」と呼ばれる可能性があったんですよね。「コーヒーにはテインが含まれています。」なんて言ってたかもしれないんですね。

 お茶屋としては、テインと呼ばれるほうが嬉しいなあ・・と思うかぎりです。

⑤京都でつくられる煎茶は、全国生産量の約1%

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 お茶の産地といったら?という質問に対しては、静岡、宇治といった声がよく聞こえてきそうですね。中には「狭山」「伊勢」「八女」「嬉野」「鹿児島」「宮崎」といった声が上がることもあります。さて、その知名度と生産量はどれだけかい離があるのでしょうか・・?

 日本全国で作られているお茶ですが、お茶の生産量の実際は・・・

平成26年度で、京都府の普通煎茶の生産量が645tに対して、全国では52400tと、京都府の割合は約1%に過ぎないのです。煎茶であれば、静岡、鹿児島、三重、宮崎といった産地の割合が多いのです。

元データはこちら:http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_kome/pdf/syukaku_tya_14.pdf

 

しかし、こちらは「荒茶」と呼ばれる、煎茶に加工される原料となる茶葉の生産量。

抹茶の原料となる「碾茶(てんちゃ)(統計上は「おおい茶」と呼ばれる)であれば、この順位も一変します。京都府は1420t、全国で6260tと約23%ほどの生産量を誇ります。

 

⑥お茶に浮かぶ「ほこり」の正体は「毛茸(もうじ)」

 以前にこんなTweetが話題になっていました。 

 私もお茶を淹れたあとに、光の加減などで多く見える場合には、一言添えることが多いです。実際の見た目があまりにもホコリにしか見えないので・・・。味わう時に、この毛茸が浮かんでいる時には、いいお茶(新茶)を淹れて頂いたんだな、と思うことができれば◎です。 

⑦世界農業遺産に登録された茶畑がある

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 正確にいうと、茶畑ではなく「茶草場」です。世界農業遺産 静岡の茶草場農法(しずおかのちゃぐさばのうほう)のページに詳しいですが、(画像は上記HPより引用)

茶草場農法とは、茶園の畝間にススキやササを主とする刈敷きを行う伝統的農法のことである。この茶草によって、茶の味や香りが良くなると言われている。
静岡県の茶栽培では、秋から冬に掛けて、茶園の周辺にある【茶草場】の草を刈って茶園の畝間に敷く作業が行われている。 夏にはただの草むらにしか見えない茶草場であるが、秋になるときれいに草は刈られ、刈られた草が束ねられて干してある風景を見ることができる。

ということです。世界農業遺産が2002年から開始され、まだまだ世界で認定されている場所が少ないのですが、これから農業の重要性が増していくなかで、認知度が高まっていくでしょう。お茶好きであればぜひ押さえておきたい知識です。

⑧お茶は茶色じゃないのになぜ「茶色」というのか

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 禅問答のような言葉ですが、一般的にお茶の色といった時には、緑色や黄緑色を想像する方がほとんどかと思います。しかし「茶色」はBrown、土の色を想像しますよね。

実はこれには様々な説があるのですが、

・茶葉で染めた色がブラウンだから(淹れたときは緑色でも、茶に含まれるタンニンの影響で茶褐色=ブラウンになる)

・日常のお茶が茶色(ほうじ茶)だったから、茶色=ブラウンが定着した後に緑茶が普及したから

・お茶の木の実の色がブラウンだから

・・・と様々あります。答えがひとつではないのですが、お茶の話題にいかがでしょうか? 

⑨お茶を濁す、で濁されたお茶は何のお茶?

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「お茶を濁す」とは、

お茶を濁すとは、いいかげんなことや適当なことを言ったりしたりして、一時しのぎにその場を取り繕うこと。

お茶を濁す - 故事ことわざ辞典

です。この時に濁されたお茶は、煎茶やほうじ茶ではなく、抹茶です。

抹茶を頂く茶道では、は本来様々な作法がありその一挙手一投足が注目されます。マナーや作法を知らない人がごまかすようにして抹茶を濁すようにかき混ぜ、それでその場を取り繕う姿、が語源と言われています。

⑩お茶を盛り上げるための「法律」がある

お茶を盛り上げるための法律、と書くとかなり大げさですが、我が国には

「お茶の振興に関する法律(平成23年法律第21号)」

というものがあります。

法律の第一条に書いてある目的を抜粋してみますと・・・

 (目的)
第一条 この法律は、お茶に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透し、国民の豊かで健康的な生活の実現に重要な役割を担うとともに、茶業が地域の産業として重要な地位を占めている中で、近年、生活様式の多様化その他のお茶をめぐる諸情勢の著しい変化が生じていることに鑑み、茶業及びお茶の文化の振興を図るため、農林水産大臣による基本方針の策定について定めるとともに、お茶の生産者の経営の安定、お茶の消費の拡大及びこれに資するお茶を活用した食育の推進並びにお茶の輸出の促進に関する措置、お茶の伝統に関する知識等の普及の措置等を講じ、もって茶業の健全な発展及び豊かで健康的な国民生活の実現に寄与することを目的とする。

・・・なんだか立派ですね!!この法律を根拠に、様々な方針や、輸出するための予算などが定められているのでしょう。お茶業界orお茶好きの方であれば、一度は目を通してみてはいかがでしょうか。ちなみに法律を根拠に方針を取りまとめたページはこちら。

農林水産省/「茶業及びお茶の文化の振興に関する基本方針」の公表について

 

ちなみに全くの余談ですが、お茶以外にも「真珠」や「花き」の振興に関する法律もあります。 

 

 

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以上です!

皆様の参考になれば幸いです。

 

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