こんにちは!d:matcha Kyoto magazineのTakeshiです。
べにふうき。それは頼れるお茶
「べにふうき」という名前のお茶を聞いたことはあるでしょうか?新聞やテレビなどで報道されることもあり、名前だけは知っている方もいるかもしれません。
べにふうきはお茶の品種の名前です。このお茶は「メチル化カテキン」という成分をたくさん含んだお茶で、その「メチル化カテキン」が抗アレルギー作用を有していることが明らかにされたのは、1999年のことです。
Wikipediaによると、
べにふうき(紅富貴)は、べにほまれと枕Cd86を交配した後代のアッサム種に近い茶品種である。紅茶、半発酵茶の用途として開発された。
アレルギーを抑制する可能性があるメチル化カテキンを豊富に含み、緑茶として飲用することによって同カテキンを多く摂取できるとされ、商品化されている。
とあります。
今回はこちらのべにふうきに含まれるメチル化カテキンについて、
「現役のお茶屋&農学部卒(理系)」の目線で徹底解説していきます!
右が学生時代の私。初夏は大体田んぼにいました。
・どのようにして花粉症などのアレルギー反応を和らげるのか
・アレグラなど抗ヒスタミン薬と併用していいのか
・べにふうきの買い方・選び方
・べにふうきの飲み方、飲む際の注意点
・どのくらいの量をどのタイミングで摂取すればよいのか
・留意点(作り置きはしないでね!等)
などについて解説していきます。
・・・ちなみに私自身は花粉症ではないのですが、妻が重度の花粉症のため、妻からきいた話を参考にしつつも、各種論文の原典にひとつひとつあたり、解説しています。もっと詳しくなりたい!という方は、各種情報にはソースとしたリンク(すべて国などの研究機関ものです)を張っておりますので、そちらをご参照ください。なお、薬事観点でのアドバイスを意図したものではございませんので、アレルギー症状のひどい方はお医者様などにご相談された上でべにふうきを補助として活用頂ければ幸いです。
メチル化カテキンはどのようにしてアレルギー反応を和らげるのか
まずは、基本的な知識から。メチル化カテキンがどのようにアレルギー反応を和らげるのかについて、見てみましょう。
べにふうき緑茶の抗アレルギー作用とそれを利用した製品開発 | 農研機構
こちらのページから参照すると・・・
メチル化カテキンは主要なカテキンであるエピガロカテキン-3-O-ガレート(EGCG)のガレート基の一部がメチルエーテル化された物質です。マウスを使ったI型アレルギー反応試験においてもEGCGに比べ2.5倍の抗アレルギー作用を発現します1) 2)。マスト細胞や好塩基球内の高親和性IgEレセプタ発現を抑制し3)、カテキンレセプタである67LRを介してミオシン軽鎖リン酸化を阻害し4)、情報伝達系のチロシンキナーゼであるLynのリン酸化を阻害することでマスト細胞の活性化を抑え、ヒスタミンの遊離を抑制することが明らかにされています5)。
・・・読まずとも大丈夫です。
他の情報も加えながら、少しかみ砕いて説明していきます。
メチル化カテキンは体内にて、
というのが効能として認められています。
実際に人での試験がされています。
同リンク中に記載があります。こちらも長いですが、読みやすいので引用してみます。要は、べにふうきを飲んだグループは、鼻かみ・眼のかゆみ・咽頭痛が改善したそうです。
スギ花粉症状をもつ研究所のボランティアに「べにふうき」緑茶(1日あたりEGCG3”Me 34mg)や、プラセボとしてEGCG3”Meを含まない「やぶきた」緑茶を毎日飲んでもらい、その効果を二重盲検で試験してみました。実施期間は、花粉の飛散の増加とともに、鼻の症状(くしゃみ、鼻汁、鼻づまり)、眼の症状(かゆみ、涙)、咽頭痛は悪化する時期に行い、被験者の方々には各個人の症状を毎日日誌に記載していただく形で試験を実施しました。その日誌に基づき症状を日本アレルギー協会の方法に従ってスコア化してみると、「べにふうき」飲用群は、プラセボ飲用群に比べ、有意に症状スコアの改善が認められました。特に、鼻かみ回数、眼のかゆみ、咽頭痛で顕著な改善が現れました。
(ちなみに補足)ここで書いてある「プラセボ」という言葉、ほかにも「プラシーボ」という言葉で説明されることがあります。実験にはつきものの言葉です。
プラシーボの説明ですが、例えば「これは健康にはいい薬だよ」といって医者から渡された場合、思い込みの力で実際にはただの小麦粉であっても症状が改善することがあるのです。この影響を避けるために、実験では実際に効果を確かめたい薬を上げたグループと、そうでないグループの2種類を同時に試験をして、薬の有効性を検証することが一般的です。 より詳しくはこちらから・・・偽薬 - Wikipedia
べにふうきは抗ヒスタミン薬と併用していいの?
抗ヒスタミン薬は、市販されている薬だとアレグラやアレジオン、ストナリニなどがあげられます。ここでは薬の解説はしませんが、一般的な抗ヒスタミン薬がアレルギー反応を抑えるメカニズムを確認すると、
というのが作用になります。
こちらに花粉症のmechanismについて厚生労働省がまとめたパンフレットがありますので、リンクを張っておきます。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun/dl/ippan2.pdf
色々書いてありますが、抗ヒスタミンはその名前の通り「ヒスタミン」を抑えるものですので、症状がでにくくなる、といういわば対症療法ですね。
まとめ:メチル化カテキンと抗ヒスタミンの違い
上記の図でまとめた通りですが・・・
■メチル化カテキン・・・アレルゲンによって放出されるヒスタミンの分泌を抑える
という違いがあります。
コラム:べにふうきがお茶の中ではとりわけすごい!
参照:http://www.science-academy.jp/showcase/13/pdf/T-004_showcase2014.pdf
こちらを見てもらえばわかる通り、実はメチル化カテキンはお茶には一般的に含まれています。しかし、べにふうきがダントツで多く含まれています。一般的なお茶の品種やぶきたと比べても、その差は歴然。そういった意味で、べにふうきが最もメチル化カテキンを摂取するのに適した品種であることがわかるでしょう。
アレグラなどの抗ヒスタミン薬とべにふうきは併用していいのか
花粉症の方が気にするところかと思いますが、結論からいうと併用しても大丈夫です。
私の妻もお医者さんに相談しましたが、回答としては
「べにふうきは薬ではないので、併用しても大丈夫です」
ということでした。まあ当たり前ですが、べにふうきはあくまでお茶です。但し、薬などを飲むときに使わないでほしい、ということは言われました。これは、一般的に緑茶にカフェインが含まれており、カフェイン自体が薬の効き目を強くしたり弱くしたりといった作用があるために望ましくない、ということです。薬を飲むときは、水か白湯を使うのが無難です。
※参考:アサヒ飲料のHPにも記載がありました よくあるご質問 | めめはな茶 | アサヒ飲料
お茶屋の観点から注意点を加えると
べにふうきはあくまで緑茶ですので、カフェインを含みます。一般的な緑茶より多いわけではありませんが、寝る前に飲むと眠れなくなってしまうかもしれません。日ごろからコーヒーを楽しむ人であれば問題ありませんが、カフェイン過敏の方は注意しましょう。
逆に、朝や昼であれば目が冴える効果も期待できるので、春の眠い時期にはよいかもしれません。
べにふうきの買い方・選び方
ここからは実際にべにふうきを買う方法・選び方をみていきましょう。
べにふうきは大きく分けて、
①茶葉タイプ
②パウダータイプ
の2種類があります。後述しますが、それぞれ淹れ方などが異なるために、生活スタイルに合わせて選ぶとよいでしょう。
①茶葉タイプ
ティーパックに入っているタイプや、茶葉そのものを購入することができます。飲み方としては、茶葉を5分間以上煮沸させると効率的にメチル化カテキンを抽出することができます。
'べにふうぎ緑茶からメチル化カテキンを多量に抽出するためには,煮沸しながら5分以上煎じるのが良かった(60%以上抽出可能)。熱水を注いでそのまま5分静置した場合は約30%,1晩冷蔵庫で抽出した場合は約14%の抽出率に過ぎなかった。
そのため、忙しい方では中々煮沸させるための時間が取れないと思うので、そういった方には②のパウダータイプをお勧めします。茶葉を普通に急須でいれても、煮沸した場合に比べて半分ほどしかメチル化カテキンが抽出されません。
②パウダータイプ
こちらは飲み方は簡単です。お湯に溶かすだけです。また、茶葉をそのまま粉にしているため茶葉が持つ成分を丸ごと摂取することができるので、少ない量で効率的にメチル化カテキンを摂取することができるといわれています。
但し、パウダーに加工する手間がかかっている分、気持ち値段が高くなります。また、これは好みの問題もありますが、茶葉タイプのほうが茶葉成分を抽出していることもあり、味わいとしては飲みやすいかもしれません。
このあたりは完全に好み&生活スタイルによって変わるところですので、使いやすいほうを選んで頂ければ大丈夫です。
覚えておきたい!メチル化カテキンを多く含む商品を選ぶ方法
ここで、世の中にあまたあるべにふうき商品の中から、メチル化カテキンを多く含むものを選ぶ方法を紹介します。一般的に販売されている商品では、メチル化カテキンがどれだけ多く含まれているかが明記されているのは少ないのですが、それでも相対的に多いものを選ぶ方法があります。
それは
「二番茶を使っているかどうか」
です。
年3回摘採において、メチル化カテキン含有率は二番茶に最も多く含まれる。
二番茶に多くのメチル化カテキンが含まれていることが明らかになっています。一般的には、お茶の品質は一番茶(新茶)が最もいいと言われていますが、ことべにふうきに関していえば、二番茶のほうがメチル化カテキンを多く含むために(味はおいておいて)二番茶が使われている商品を選ぶのがよいでしょう。
茶葉タイプ・パウダータイプ それぞれ飲み方・淹れ方
茶葉タイプの場合
・5g程度の茶葉を
・500mlのお湯で
・5分以上煮沸
→茶葉を取り出して、飲みましょう。
パウダータイプの場合
・1.5gほどのべにふうきパウダーを
・200mlのお湯で
・溶かして飲む
だけで大丈夫です。
※実際に効き目がある量については、効き目に個人差があるのと、お茶によって含まれるメチル化カテキンの量が異なりますので、毎日飲む量を調整するのが無難です。
以下、弊社ではべにふうきのパウダータイプを扱っていますので、パウダータイプについては写真付きで詳しく解説します。
1.5gはこのくらい。大体ティースプーンで1杯程度です。山盛り1杯だと2.5g以上になりますね。
ショップカードと比べてみます。名刺サイズの大きさです。
スプーンからお皿にだすとこのくらい。厳密にはかる必要はありません(薬ではないので!)
ダマが気になる場合は、先にお湯で粉を練っておくとダマなしでスムーズに飲みやすくなります。
熱湯を入れてよく混ぜます。
200mlの量はこのくらいです。
(量がわかりやすいようにプラコップに淹れましたが、実際は湯飲みなどにいれましょう。。ちなみに私はお茶屋なので200mlの量は感覚でわかりますが、大体牛乳パックの200mlを想像するとお湯の量も目安がつけやすいです。)
留意点&知っておくといいこと
その他、いくつか飲む際に気になるポイントを加えていきます。
飲む頻度・1日に飲む回数について
べにふうきを摂取してから、メチル化カテキンが体内に残留するのは3~4時間であるといわれています。そのため、こまめに3~4時間おきに飲むのが無難です。
ただし、効果には個人差があるようです。朝だけできくという方もいれば、毎食後に飲むのがいい、という方も。また夜は眠れなくなるから飲まないという人もいらっしゃいます。自分にあった飲み方を見つけましょう。
(オススメは・・・はじめは日中にこまめに飲み、その後間隔をあけてみるなどするとよいでしょう。大体朝昼晩に3回飲む、という方法に落ち着く方が多い印象です。)
パウダータイプの作り置きはやめましょう!
パウダータイプの場合は、お茶を作ったら放置せずにこまめに飲むようにしてください。べにふうきのお茶の作り置きを喧伝するサイトも世の中にはありますが、作り置きしたものを長時間おくと、光過敏性皮膚炎を引き起こす物質が生成するとの研究成果も出されています。すぐに飲めば気にする必要はありませんので、淹れたものは保存することを考えずに飲むようにしてください。
※二番茶では問題ないとも書いてありますが、念のため。
参照:べにふうぎ緑茶として多く販売されている緑茶粉末を長時間温水に放置した場合のフェオホルビドa(PBa:光過敏性皮膚炎原因物質)生成量を測定したところ,(略)3時間インキュベートすると80mg/100gのPBaが生成した。二番茶では生成はほとんどなかったが,緑茶粉末を水に浸けて気温の高い状態で長時間持ち歩く飲用法は避けた方が良いと考えられる。
生姜と併用するとパワーアップ!
(参照元:https://shingi.jst.go.jp/past_abst/abst/p/11/1158/naro_7.pdf)
こちらのグラフの中に「べにふうき緑茶+ショウガ」という言葉が見えます。これはべにふうきが花粉症の症状をどうやわらげたかを試した実験のグラフですが、じつは生姜を併用すると、べにふうきの効果が上がることがわかっているのです。
引用:「べにふうき」緑茶の症状スコア軽減効果がショウガ エキス添加(3gのべにふうき緑茶に対しショウガエキスは 60mg/日)により増強されることがわかった。
http://www.science-academy.jp/showcase/13/pdf/T-004_showcase2014.pdf
ショウガエキスの量もありますが、市販の生姜チューブを少し入れるだけでも味わいも変わって飲みやすくなりますし、オススメです。蜂蜜とショウガを入れて、ハニージンジャーべにふうきなんてのもいいかもしれません・・。
べにふうきを飲みはじめる時期・タイミングについて
花粉が飛び始める前から飲む、ことが効果を発揮するのに優れているといわれています。しかし、花粉が飛んでいる時期に飲んで効果がないわけではありません。症状を抑えるためには早めに+症状が出たときにも飲む、とよいかと思います。
ご参考までに、関東地方であれば3月上旬が花粉のピークのようです。そのために、2月下旬(2/21~あたり)から飲み始めて頂くとよいかと思います。
最後に
べにふうきとメチル化カテキンについて、今回の記事は以上です!
薬事法の関係で、べにふうきの商品を販売するページにはっきりと「花粉症を和らげます」という記載をしているところはありません(トクホを除く)。そのため、はっきりと通販のサイトでも、各種効能が書いていないことも多いのですが、実際に研究でメチル化カテキンの効能は証明されてきています。薬を飲んで花粉症と戦っている皆様、今年はべにふうきで対処してみようと思ったあなた、その助けの一歩になれば幸いです。
最後の最後に
d:matcha Kyotoオンラインショップでもべにふうきはご購入いただけます。
弊社で販売しているべにふうきはこちら。京都の土地でつくられたべにふうきは希少で、その珍しさから重宝されています。
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