お茶の味わいを決めるものはお茶そのものと、気候(天)、土壌と地形(地)、作り手(人)です。
これらを満たしている和束町は美味しいお茶ができる条件を満たしています。
ではそれぞれを見て見ましょう。
目次
(1)気候(天)
(2)土質(地)
(3)傾斜(地)
(4)栽培管理(人)
(5)茶加工(人)
1.気候(天)
香味の良い良質な茶は、比較的冷涼な河川の上・中流域の朝霧のたつような地域で生産される
温暖地と寒冷地を比較すると、やはり温暖地のほうが成長が早く収量も収穫回数も多く確保できるのに対し、和束町のような寒冷な山間部のチャは平坦部と比較すると萌芽が遅く、摘採期が遅れるなどの不利な点も多いです。
その分、新芽の成長に伴う茶芽の硬化が平坦部の畑より速度が遅く、うま味成分を長く保つことができることから、成分的にも好影響を及ぼします。新芽は良く伸び、芽揃いも良いです。
古くから「香味の良い良質な茶は、比較的冷涼な河川の上・中流域の朝霧のたつような地域で生産される」といわれています。
2.傾斜(地)
美味しいお茶が作れる条件の1つは「水はけと風通しがよいこと」
極端な寒冷地では茶樹は育たないし、高温地では美味しいお茶が作れません。
また、粘土質の土質は香り高いお茶を作ることが可能ですが、水はけが悪くお茶の栽培に向かない。
これらのジレンマを解消しているのが山間部での傾斜を利用した栽培です。
冷たい空気は斜面の下に流れて行く傾向があり、逆に平坦な所に停滞する傾向があります。
傾斜地でのお茶の栽培が多い京都府の中でも群を抜いて傾斜地栽培率の高い和束町。
作業効率が悪く大量生産ができない土地柄ではありますが、そこに植える理由はあるのです。
3.土質(地)
和束町の赤土は後味の濃い、余韻の長いお茶を生み出している
お茶は土から養分を吸収するため、お茶が植わっている畑がどのような土壌であるかという事も、お茶の味わいに影響を与えます。水はけのよい砂地のほうがお茶の生育には良いとは言われますが、必ずしもそれは収量が確保できても味わいにいいという訳ではありません。
琵琶湖の湖底だった土地が隆起し、出来上がった和束町。山あり谷ありの地には、きめの細かい極めて良質な鉄分を豊富に含む赤土があります。
この赤土が後味の濃い、余韻の長いお茶を生み出しているとも言われています。
また和束町の粘土質の土は同じ和束町でも地域ごと畑ごと土地それぞれの地の香り(ジノカオリ)を持ち、個性豊かなお茶作りを可能にしてくれています。
また、歴史的にも和束町は粘土質の古くは万葉集でも『和豆香』とうたわれているなど、そもそも”香りもの“ の栽培に適した土地柄であったようです。
4.栽培管理(人)
収穫量を減らし質を上げる
和束町は他の全国の温暖地域と比べ、1番茶の萌芽が遅く冬の訪れが早いため、三番茶を収穫してしまうと、次年度の番茶に影響を及ぼします。
そのため、和束町では煎茶の収穫は多くても2回までに留め次年度に備えることにより、毎年一定の高品質の茶の生産を確保しています。
また、収穫量は減りますが、1つ1つの茶の芽に栄養を送り質の高いお茶を作るために芽数を減らし栽培しています。これは甘いイチゴを作るときに花の数を減らし栽培するのと同じ原理で1つの芽に栄養を集中させるのです。
5.茶加工(人)
茶の持っているポテンシャルを最大限に
同じように栽培していても、同じ品種、畑や、都市によっても、その日の気温、室温により微妙に適性な加工方法が異なります。
効率を求めるならば大規模な加工所に茶葉を集め、柔らかい茶葉も硬い茶葉も栽培方法が違う茶葉も全部同じ設定で加工してしまったほうがいいでしょう。
畑ごとに合わせた細かなバッチで加工することによって、そのお茶の良さを最大限に生かした加工ができるのです。加工によって、生葉のポテンシャル以上のお茶を作ることはできませんが、それを最大限に生かすことはできます。
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