d:matcha Kyoto magazine

和束町にて、お茶農家&カフェを営むd:matcha Kyotoのブログです

【お茶コラム】「今度お茶しない」の「お茶」とはいったい何だろう?理系的にも文系的にも考えてみた

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こんにちは、d:matcha Kyoto magazineのTakeshiです。

 

さて、インターネットでこんなまとめが話題になっていました。

確かに、人を「お茶しない?」と誘っておいて、実際に足を運ぶのはスタバみたいなカフェだったりしますよね。この定義で言えば、確かに珈琲も「お茶」の一種です。

生真面目に、理系的に答えると

お茶屋の「お茶」の定義ですが・・・生真面目に答えると下記になります。

 

茶とは
チャの学名はドイツの植物学者のクンツが命名したカメリア・シネンシスCamellia sinensis(L.)O.Kuntze(l887)を使用している。ツバキ科(Camellia:カメリア)の中を更に分類すると、ツバキ属チャ節というグループに属する。(略)

チャは永年性の常緑樹で、世界的には比較的温暖な年平均気温13℃以上、年間降水量1,300 mm以上、弱酸性土壌の亜熱帯地方に多く分布している。葉は小さく灌木(低木)でタンニン含有量が少なく、主として緑茶用原料として用いられる。

日本茶関係の書物より適宜抜粋。

 とまあ、これは非常に理系的な解釈。いわゆる「日本茶」でイメージされる煎茶や抹茶、はたまた紅茶やウーロン茶などはすべて同じ茶葉から作ることができるのですが、その「茶葉」は「カメリア・シネンシス」という学名をもつ茶の木から作られるのです。

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他にも、日本茶AWARDの募集要項などを見ても「カメリア・シネンシス」が含まれているかどうかが「日本茶」の中に含まれるかどうかの基準の分かれ道とされています。

古くて新しい日本茶の品評会 - 日本茶AWARD

「ナチュラル・フレーバー部門」・・・カメリアシネンシスが 50%以上含まれるもの,化学香料の使用が無いもの
・「抹茶部門」・・・・公益社団法人日本茶業中央会の名称及び定義によるもの:覆下栽培した茶葉を揉まずに乾燥した茶葉(碾茶)を茶臼で挽いて微粉状に製造したもの(*)
・「粉末茶部門」・・・公益社団法人日本茶業中央会の名称及び定義によるもの:茶を粉末にしたもの。ティーバッグ又はそのまま飲用する他、食品加工用の原料になるもの(*)
・「水出し茶部門」・・茶種は問わず、カメリアシネンシスが50%以上のもの
(*)公益社団法人日本茶業中央会ホームページ「緑茶の表示基準」より抜粋。
http://www.nihon-cha.or.jp/standard.html

そのため、「茶」とはなんだ、と聞かれた時には「カメリアシネンシスが使われているもの」と答えると、まずもって間違いにはならないでしょう。

 

とはいえ、実際には〇〇茶がたくさん存在する世の中

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しかし、日本茶を勉強する人の「日本茶インストラクター」の勉強資料などを見ると、定義が混乱しないようにこんな一文が。

さて、広義には茶を含め、例えば、どくだみ茶や混合茶のように植物の葉などを乾燥し、湯で浸出する、もしくは煎じて飲むものを「〇〇茶」と表現する場合もあるが(注) 、本テキストにおいて茶はチャ(カメリア・シネンシス)を原料としたものに限定する。

(注)こんぶ茶、甘茶、杜仲茶、柿茶(柿の葉茶)、どくだみ茶、げんのしょうこ茶、ギムネマ茶、ハーブティー(ハーブ茶)、グアバ茶、ウィキョウ茶、ウコギ茶、くこ茶、ビワ茶、マテ茶、ルイボスティ、ハトムギ茶(よくいにん茶)、けつめいし茶、コーンティー等

 このように、「カメリア・シネンシス」が原料であるものを「茶」と呼ぶことにしているものの、様々な植物を乾燥させたものを●●茶と呼ぶことがあると整理しています。

 

実際に、町のお茶屋さんでも日本茶に限らず、梅昆布茶や麦茶、はたまた珈琲豆などを販売していたりもするので、お茶屋さんが「お茶」以外を扱っていることはよくありますし、日常生活でも「お茶=カメリアシネンシス」という解釈にこだわる必要もないでしょう。 

文系的な解釈をすると:「ごはん」を例に

さて、ここで話題になっている「お茶」にコーヒーなど含まれることの説明ですが、私はコーヒーに限らずに、もっと広い範囲で「お茶」という言葉が使われていると考えています。

 

例えば、「今度ごはん食べに行こうよ」と誘う時の「ごはん」白米だけを表すのではなく、「食事」という意味に変換してとらえられますよね。

 

それと同じく、「今度お茶しに行こうよ」と誘う時の「お茶」お茶だけを表すのではなく、「カフェ全般」という意味に変換してとらえられている

というように、「お茶」=「カフェ全般での飲食行為」として使われているのではないか、と考えます。

これらtwitterのつぶやきをみても、若い人でも上にあげたような使い方が浸透しているのがわかりますね。お茶屋としては、お茶しない?といっているならば、お茶を飲んでほしいところですが・・笑

 

今回は以上です!皆さんもぜひ「お茶」する毎日を楽しんでください。

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